
『呪術廻戦』『葬送のフリーレン』『推しの子』と、原作ファンが息を飲むような大型タイトルが並んだ今期。当然、主題歌を担当するアーティストも超一線級が揃っています。King Gnu、Mrs. GREEN APPLE、YOASOBI、Official髭男dism——名前を並べるだけで「今期やばいな」と思わされるラインナップです。
この記事では、筆者が今期のOP・EDを聴き込んだ上で「これは心に残った」と感じた7曲を独断で選びました。曲単体としての完成度と、アニメ映像との相性。この2軸で語っていきます。
選定基準:「曲の力」×「アニメとの相乗効果」
今回のランキングは筆者の完全な独断です。客観的なチャート順位やYouTube再生回数ではなく、以下の2つの基準で選んでいます。
- 曲単体の完成度:メロディ、歌詞、アレンジ、ボーカルの総合力
- アニメとの相性:映像との一体感、作品のテーマとの共鳴
OP・ED混合のランキングなので、「OPならでは」「EDならでは」の魅力もそれぞれ評価しています。なお、各作品の物語の方向性に軽く触れている箇所があります。また、今期は冬アニメ全体の注目作品まとめも書いているので、作品自体が気になる方はそちらもどうぞ。
第7位:乃紫「メガネを外して」——『正反対な君と僕』OP
初のアニメ主題歌が、いきなり冬クールの話題作。乃紫さん、度胸ありますよね。
「メガネを外して」は、原作マンガを読み込んだ上で書き下ろされた楽曲です。タイトルの時点で、作品を知っている人なら「ああ、あのシーンだ」とピンとくる。知らない人でも、曲を聴いてから原作を読むとまた違った感動があるはずです。
注目したいのは、音数を抑えたイントロ。ピアノの単音とストリングスだけで始まり、サビに向かって音が重なっていく構成が、ラブコメの「まだ距離がある二人」の含羞をそのまま表現しています。初アニメ主題歌とは思えない堂々とした仕上がりで、サビの突き抜けるようなボーカルが印象的。『正反対な君と僕』のレビュー記事でも触れましたが、このアニメは音楽の使い方が丁寧で、OPの入り方から作品世界への没入感を作っています。
第6位:YOASOBI「アドレナ」——『花ざかりの君たちへ』OP
YOASOBIが今期担当しているのは、少女漫画原作の『花ざかりの君たちへ』。「YOASOBI=シリアスな世界観」というイメージがあった筆者にとって、このアップテンポでコミカルな楽曲は新鮮でした。
YOASOBIといえば「小説を音楽にする」というスタイル。今回も楽曲制作のために津山冬さんが書き下ろした短編小説『Magical』をベースに、Ayaseさんが楽曲を制作しています。まっすぐで不器用な恋心を描いた歌詞と、目まぐるしく展開するアレンジが、恋の高揚と迷走をそのまま音にしたような仕上がりです。
MVもコミカルな映像作品に仕上がっていて、ikuraさんの表現力の幅広さを改めて感じます。今期のバトル系・シリアス系の重厚な主題歌が多い中で、この「軽やかさの中にある芯の強さ」はYOASOBIだからこそ出せる味。OP映像のカラフルな色彩との相性も抜群で、毎話冒頭が楽しみになる1曲です。
第5位:Official髭男dism「Make Me Wonder」——『ダーウィン事変』OP
『ダーウィン事変』は、人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年チャーリーを主人公にした作品で、種の壁、テロリズム、社会の分断といった重いテーマを扱います。そんな作品のOPをOfficial髭男dismが担当すると聞いたとき、「絶対合う」と確信しました。
実際、「Make Me Wonder」はヒゲダン節のポップさを残しながらも、歌詞に宿る問いかけが重い。「不思議に思わせてくれ」というタイトルそのものが、作品が投げかける「当たり前を疑え」というメッセージと重なります。
2025年12月29日に先行配信されたこの楽曲、アニメ本編が始まってから聴き直すと、歌詞の一つひとつが登場人物の葛藤に重なって聴こえてくる。OP映像との合わせ方も見事で、サビに入る瞬間の画面転換で毎回鳥肌が立ちます。
第4位:ちゃんみな「TEST ME」——『【推しの子】』第3期 OP
第3期に入り、作品全体がシリアスの濃度を増した『推しの子』。そのOPを担当するちゃんみなさんが掲げたテーマは「恨み」です。
これ、攻めてますよね。アニメのOPで「恨み」をテーマにする。でも聴いてみると納得するんです。第3期の物語は、復讐と真実、芸能界の光と影が複雑に絡み合う展開。ちゃんみなさんの高音ボーカルが、その緊張感を見事に表現しています。
MVは妖艶なキャバレーのような空間で、後半にはアクロバティックなペアダンスも。OP映像のディレクターは第1~2期で助監督を務めた猫富ちゃおさんが担当しており、「芸能界、親子、兄妹、若さ、性、ルッキズム、消費——いろんな呪いをテーマに作った」と語っています。楽曲と映像が同じ方向を向いているから、あの没入感が生まれるんですね。
第3位:なとり「セレナーデ」——『【推しの子】』第3期 ED
OP「TEST ME」がダークな"恨み"なら、ED「セレナーデ」は静かな"祈り"。同じ作品のOP・EDで、ここまで見事なコントラストを作れるのかと唸りました。
なとりさんがモチーフにしたのは、劇中キャラクターのアクア。「彼だけにはこの音楽が流れている時間だけでも幸せに眠っていてほしい」という願いを込めて書いたそうです。敬愛するボカロPのツミキさんがアレンジで参加しており、軽快なポップスの表層に切なさが滲むダンスミュージックに仕上がっています。
ED映像は白黒のコントラストが激しく、社交ダンスのシーンの美しさが際立つ。MVは2026年2月時点で350万再生を突破し、急上昇チャートにもランクイン。曲、歌声、映像——三拍子揃った完成度の高さは、今期EDの中でも頭ひとつ抜けています。
ボカロPやネット発アーティストのサウンドが好きな方、あるいは『推しの子』のアクアというキャラクターに思い入れがある方なら、このEDは特別な1曲になるはずです。
第2位:Mrs. GREEN APPLE「lulu.」——『葬送のフリーレン』第2期 OP
正直に言うと、発表時は「ミセスとフリーレンって合うのかな」と思いました。第1期第1クールのYOASOBI「勇者」、第2クールのヨルシカ「晴る」——あの2曲の印象が強すぎたんです。でも、実際に映像とセットで見た瞬間、その懸念は吹き飛びました。
「lulu.」はMrs. GREEN APPLEの「フェーズ3」最初の楽曲。ソングライターの大森元貴さんは、命や宝物、思い出、意思が人から人へ受け継がれ、故郷を胸に前へ進む強さを描いた——という旨を語っています。これ、まさにフリーレンの物語そのものなんですよね。ヒンメルから受け継いだものを胸に、フリーレンが歩き続ける——その旅路と完全にリンクしている。
発表当初は賛否がありました。「フリーレンの静けさとミセスの明るさが合わない」という声も。でも筆者は、この「明るさの中にある切なさ」こそがフリーレンなんだと思っています。穏やかな旅の風景の裏にある、もう会えない人への想い。サビの伸びやかな高音が、その二面性を美しく表現しています。
『葬送のフリーレン』第2期のレビューでも書きましたが、この作品は主題歌に恵まれていますね。フリーレンの旅に感情を重ねたい方、ミセスの新章に立ち会いたい方におすすめです。
第1位:King Gnu「AIZO」——『呪術廻戦 死滅回游 前編』OP
今期の主題歌、1位はこれしかないと思いました。
King Gnuの「AIZO」。冒頭で笙(しょう)の音が鳴り響く。次の瞬間、BPM195のドラムンベースが襲いかかってくる。和楽器とエレクトロニックの衝突。「LUV ME」「HATE ME」「KILL ME」という叫びが刻まれるイントロだけで、もう呪術廻戦の世界に引きずり込まれます。
配信開始日に国内ストリーミング300万回を突破。リリースからわずか5日で各種チャート52冠を達成。数字の強さも圧倒的ですが、筆者がこの曲を1位に選んだ理由は別にあります。
歌詞の「しまい」という言葉。ファンの間では、これが禪院真希・真依の姉妹(しまい)を指しているのではないかと考察されています。筆者もその解釈を知った瞬間、全身に鳥肌が立ちました。意図的かどうかはさておき、原作を読み込んだ上で歌詞を書いているのは間違いない。表面的な「タイアップ」ではなく、作品の血肉を音楽に変換している。だからこそ、OP映像と楽曲が一体となって視聴者の感情を揺さぶるんだと思います。
『呪術廻戦』第3期のレビューでも触れていますが、死滅回游編は物語の緊張感が極限まで高まるパート。その空気感を、笙と三味線の和の音色とドラムンベースのアグレッシブさで表現したKing Gnu。本当に「この作品にはこの曲しかない」と思わせる、圧巻のOPでした。
和楽器とエレクトロニックの融合に痺れたい方、あるいは呪術廻戦の世界観に音から浸りたい方には、文句なしの1曲です。
番外編:惜しくも選外だった3曲
ベスト7はバトル系・ドラマ系の重厚な楽曲が多くなりました。「もう少し軽めの曲が好み」「声優アーティストの作品が気になる」という方には、こちらの3曲をおすすめします。
- milet「The Story of Us」(葬送のフリーレン 第2期 ED):色鉛筆タッチの映像美と、物語の余韻をやさしく包み込むバラード。OP「lulu.」が「前に進む強さ」なら、こちらは「振り返る切なさ」。フリーレンファンなら必聴です
- 花澤香菜「Cipher Cipher」(魔都精兵のスレイブ2 ED):エレクトロポップの中に花澤さんの透明感あるボーカルが映える。声優アーティストの新しい表現を聴きたい方にぜひ
- F/ACE「Sweet Magic」(多聞くん今どっち!? OP):思わず体が動くポップチューン。サビのリフレインが耳に残る中毒性。ラブコメのOPとしての完成度が非常に高く、気軽に楽しめるアニソンを探している方に
まとめ:2026冬は"アーティストの本気"が集まったクール
今期の主題歌を振り返って感じるのは、「アーティスト側の本気度」です。
King Gnuの笙×ドラムンベースという和洋折衷の挑戦。Mrs. GREEN APPLEのフェーズ3幕開け。ちゃんみなの「恨み」という攻めたテーマ設定。なとりとツミキのコラボレーション。どの楽曲も「アニメタイアップだから無難に」という姿勢とは正反対で、アーティストが作品と真剣に向き合った結果が音になっています。
もう一つ、今期のトレンドとして見逃せないのが「ボカロP・ネット発アーティストの台頭」です。なとり×ツミキのコラボレーションに象徴されるように、ニコニコ動画やYouTubeから生まれた才能がアニメの主題歌シーンの中心に立つ時代が、完全に来ています。
そしてOP・EDのコントラストの妙。『推しの子』の「TEST ME」×「セレナーデ」、『フリーレン』の「lulu.」×「The Story of Us」。1話の中で対照的な2曲が作品の別の面を照らす——この体験は、アニメ主題歌だからこそ味わえるものだと改めて思いました。
筆者のイチオシは、やはりKing Gnu「AIZO」。あの笙の一音目で世界が変わる感覚は、2026年のアニソンシーンを象徴する瞬間になるはずです。
あなたの今期イチオシ主題歌は何ですか? ぜひ見つけてみてください。
作品情報一覧
| 曲名 | アーティスト | アニメ | OP/ED | 配信先 |
|---|---|---|---|---|
| AIZO | King Gnu | 呪術廻戦 死滅回游 前編 | OP | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
| lulu. | Mrs. GREEN APPLE | 葬送のフリーレン 第2期 | OP | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
| セレナーデ | なとり (arr. ツミキ) | 【推しの子】第3期 | ED | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
| TEST ME | ちゃんみな | 【推しの子】第3期 | OP | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
| Make Me Wonder | Official髭男dism | ダーウィン事変 | OP | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
| アドレナ | YOASOBI | 花ざかりの君たちへ | OP | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
| メガネを外して | 乃紫 | 正反対な君と僕 | OP | Apple Music / Spotify / YouTube Music |
全楽曲は主要な音楽配信サービスで視聴可能です。YouTube公式チャンネルではMVも公開されています。